適応障害ライターの奮闘記

仕事大好き!な私が、30歳を目前に適応障害に。休職、復職、転職、からの再度の適応障害・・・過去の話と現在の話を織り交ぜてブログに書き綴ります。

伝えることの難しさ

翌日。金曜日。

いつも通り、死んだ顔をして出社した。しかし、午後に差し掛かる頃、また不安が襲ってきた。今すぐにでもいなくなりたい。泣いてしまいそう。動悸がしてきた。

ああ、もう無理だ。

PCケースの中を覗く。そこには私の切り札がある。

未だに出社してこない人事を確認して、社内のチャットツールで人事に連絡をとった。

 

「お疲れ様です。今日は会社にいらっしゃいますか?相談したいことがありまして」

 

ちょっと経って返事がきた。どうやら人事はその日お休みだったようだ。

月曜日に相談することになり、その日はなんとか仕事を終えた。

 

その週の土日の記憶は正直ない。

 

週明け、月曜日。

人事のお姉さんと個室に入り、診断書と共に「適応障害」と診断されたこと、会社をしばらく休ませてほしいこと、とはいえ今動いている仕事もあるのでそのあたりを相談させてほしいことを伝えた。

すると人事は、とても心配してくれていた。

 

人事も過去勤めていた会社でハラスメントを受けていたことがあり、だからこそハシさんの気持ちはすごくわかりますと言ってくれた。私が今抱えている仕事はあと1週間くらいあれば仕上がるため、自宅作業させてもらうことにした。

人事はこう質問してきた。

「ハシさんにとって、具体的にどこがダメだったのかな?」

突然の質問に私は慌ててしまい、とっさに苦手な上司のことを挙げた。でもうまく答えられなかった。

 

もっと本当はいろいろある。上司にされて嫌なこともあったし、社風も嫌だし。いろんな出来事が噛み合わさって、複合的に連鎖して、今ここに至っている。それを説明するだけの、体力も精神力も、そのときの私はなかった。

そして人事は困ったように

 

「ええっと・・・今の話からして、“ハラスメント”はなかった、っていう認識で良いのかな?」

 

私は降参したように「・・・はい」と答え、話が終わった。

 

違う、ちがう。何かが、違う。どう答えればよかったのだろう。

自分の席に戻って「ハラスメント とは」で検索する。ハラスメントの定義って、何なのだろう?わからない。わからないなら、そのまま伝えるべきだったのでは?

どうしよう。そう考えていると、人事からチャットが届いた。

 

「さっきは辛い中、いろいろ話してくれてありがとう。社長ともシェアします」

 

そのチャットの返信にこう返した。

 

「先ほどは、ハラスメントはないと言ってしまいましたが、正直私自身、ハラスメントの定義が何なのかわからないのが現状です」

 

すると人事からは「嫌だと思ったらそれがハラスメントです。今回はハラスメントとして社長にもシェアします」と再度伝えてくれた。冷静になってから、文面で改めて当時の思いをきちんと伝えることって大事だな、と思った。

 

そうして、私は会社に置いていた文房具や本の中から大切なものだけリュックにつめて家に帰った。明日からは、自宅作業だ。そう考えると、幾分気持ちが落ち着いた。しかし、私にはまだやらなければならないことがあった。